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とあるオジサンの物語 第三話 ~駆け抜けた時代~ 

時を経ずして再びガソリンスタンドの経営を始めた私に一つの転機が訪れる。

南北を走る国道沿いには長距離のトラックも多く、私はいつものように窓ふきを

していた所で声を掛けられた
 「なぁ、腹が減ってしょうがないんだが、何か

食べ物ないかね」 
ふむ、時間があるなら有るもので何か作ろうか」

「そいつは助かる!この辺は目的地に着くまでなんも店が無くてよぉ」 

私は自分用の賄いに用意してあった食材で、簡単な料理を作ってあげた。

「おぉぉ こいつは旨い! こんなとこで食事にありつけるとは思わなかった

ありがとよ!」 
久しぶりに料理を作る喜びを感じていた私でしたが、

そこで名案が浮かんだ。 そうだ!これは売りに出来ないのだろうか?

確かにこの地域には飲食店は無く、もっと簡単に出せる料理でも喜んで

貰える。 良し、やってみよう! 私はまず、スタンドの一角を改装し

テーブル席一つで、一日数食しか出来ないがカフェを始める事にした。

これが大盛況で、私は人を雇い給油を任せる一方で

支配人であり、調理師、そしてレジ係まで兼ねて日々奔走した。

運転手の口利きから客は増え続け、次第に一角では足りないので

道の反対側に規模を拡大、周辺で知らぬ者の居ない程の大店舗へと発展する。

元々飲食店の少ないこの地域の活性化と、料理への貢献として

1935年 この年私は、州知事より州の名を冠した名誉称号を贈られる。

時は高度成長時代、国道25号沿いは大いに栄えつつあり

同時に成長した我が店舗は142席のレストランへ成長していた。

49歳になった私は、最愛の妻ともこの頃一緒になり、人生最大の

隆盛を迎える。 時は1939年、休暇を満喫していた私に何やら騒がしい

呼び声がする 
 「ハーランドさん!大変だ、すぐきてくれ!」 

どうしたと言うのだろう。私は背中を押されるように私が誇る店へと向かって

愕然とする。




燃えている・・・ もはやその全てが紅蓮の炎に包まれ、手の施しようの

無い状態だった。 両手を頭に抱えうずくまる私 「終わりだ、何もかも」

私は繁盛で得た資金のほぼ全てを更なる発展へと投資してきた。

あれほどの店を再建する資金など無い。 私は終わったのだ・・・そう諦めたその時

私の周りには人だかりが出来ていた。 
「ハーランドさん、大変だったね」

「小さくても良い、またおやじの物が食いたいよ」 「皆も協力しよう!」

 何を私は迷っていたのだろう、こんなにも愛されてる店を、このままには出来ない

必ず再建してみせるぞ! 私は燃え上がる店に背を向け再び歩き出した


次回最終話に続く  天光


最終回へはコチラ

 

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